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• イギリス在住12年 • フードスタイリスト リンクフリーです。 お返事が遅れることがよくあります。気長にお待ちください。 →ブログランキング 写真や記事の無断使用は固くお断りします。 copyright all content ©2007-10 kitsch-en ブログパーツ
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1月の中下旬に掛けて、時期もののセヴィル・オレンジ(seville orange)がスーパーに並ぶ事があります。このオレンジはスペインのセヴィル(Seville)から輸入されているもので、皮の苦みが強く、果汁も酸味が強い事で知られています。搾った果汁は本当に酸っぱいので、砂糖でも足さない限り食用にするのも難しいかもしれません。 追記:スペインのSevilleは各地で読み方が違います。セヴィル(英語読み)、セビージャ(スペイン読み)、セビリア(日本)。patronistaTさん、ご指摘ありがとう。 大きさは小振りで、日本のみかん程度のものですが、半分に切ってみると種がとっても多いのです。皮と種にペクチンが多く含まれているので、マーマレード(marmalade) を作る際は種をガーゼなどで包んで一緒に煮込みます。 所でこのマーマレード、オレンジで作られるのが一般的ですが、アメリカのものは甘みが強くてあまり苦みが無く、イギリスのものは苦みを表に出したものが多いようです。歴史を辿ると、英語表記でマーマレードという言葉が現れ始めたのが1480年。当時この言葉は、フランスを経由して使われ始めたようです。もとを辿るとポルトガル語やギリシア語との関係もあるのですが、こちらとこちらを参照に。 とはいえ、セヴィル・オレンジを使ってジャムを作りはじめた、ダンディー(Dundee, Scotland)のジェームス・ケイラー・アンド・サン社 (James Keiller and Son)は1797年からこのマーマレードを作り始め、英国全土に広めて今に至るのですが、残念ながら本家本元の会社はいまでは無いようです。この会社の、昔のマーマレードの瓶などは、アンティークとしての価値もあるらしく、時々ちょっとした値段で売られているのを見かけます。 実は個人的に、市販のマーマレードで「美味しい」と思った事が無かったので、今回初めてマーマレード作りに挑戦したものの、正直あまり期待はしていなかったのです。スーパーで、沢山の種類のマーマレードが売られている所をみながら「なぜそんなに人気があるのか」と、理解が出来なかったのですが、自作のものを作ってみて、今回その美味しさが初めて分かりました。 いくつかレシピを見比べて自分のオリジナルのものを作ったのですが、好みで最後に少量のウイスキーを加えたのが、コクをさらに増して成功に繋がったようです。甘さと苦み、そして酸味が、トーストのちょっと焦げた苦みと丁度良い相性なのですね。このマーマレードはチョコレートやヨーグルトとも相性が良いです。 日本では手に入りにくい食材の一つではあると思いますが、欧州圏で手に入る方には是非お勧めです。一年分まとめて作っても良し、友だちと分け合っても良し。作っている最中の柑橘の爽やかな香りと、外の寒さと蒸気でできた、曇り硝子を通してみる青空は、冬の憂鬱を一気に吹き飛ばしてくれるはずですよ。 セヴィル・オレンジのマーマレード (Seville Orange Marmalade) 200mlの瓶5−6個分 材料: セヴィル・オレンジ(オーガニックのもの)1kg ブラッド・オレンジ 1つ 水 2リットル 塩 小さじ半分 グラニュー糖 1.5kg ウイスキー 大さじ1 必要なもの: 空き瓶 約6個 ガーゼ 凧糸 絞り器 ボール各種 温度計 大きめの鍋(アルミのものは使用できませんー酸化してしまうため) 良く切れる包丁 小皿 ラップ スプーン等 (1)オレンジをよく洗い、水気をとります。半分に切って、絞り器で果汁と種に分けます。種は捨てずにとっておきます。 (2)搾ったオレンジの皮の内側の白い部分を取り除き、種と一緒にガーゼで包んで凧糸などで縛って茶巾状にします。 (3)オレンジの皮を薄切り、またはみじん切りにします。 (4)大きな鍋に水を2リットル、オレンジの皮を切ったもの、種と皮を包んだガーゼ、塩、搾った果汁を入れて、まずは強火で煮立てます。その後弱火で蓋をせずに2時間煮て、そのまま冷まします。一晩おいて翌日また調理を再開します(これはペクチンをなるべく多く出すためです。 (5)一晩おいたオレンジの煮汁からガーゼの茶巾を取り出し、ガーゼの果汁を搾ります。砂糖を足して、再度煮立てます。煮立ったら弱火に戻し、温度計が110度に到達するまでゆっくり煮込みます。冷凍庫に小さめのお皿を3枚くらい入れて、冷やしておきます。 (6)温度計が110度になったら、マーマレードをスプーンで少々取り出して、冷えたお皿の上に薄く広げます。約1−2分してから表面を触り、指につかないようであったら出来上がりです。手につくようであれば、そのままもう少し調理し続け、再度冷えたお皿でチェックしましょう。最後にウイスキーを入れます(無くても大丈夫ですが、入れた方がコクが深まります)。 (7)煮沸消毒した瓶に出来上がったマーマレードを流し入れ、ジャムの表面にラップかベーキングペーパーをのせて、表面の乾きを防ぎます。蓋をし、室温に戻ったらそのまま保存が可能です。保存期間は煮沸消毒が出来ていれば1年以上は持ちますが、やはり新しいものの方が美味しいと思います。開封後は冷蔵庫で保存し、早めに食べきると良いでしょう。 トーストやヨーグルトをはじめ、クッキーの間に挟んだり、ケーキの表面に軽くジャムを塗ってみても美味しいですよ。ブラウニーなどのチョコレート系のお菓子とも良くあいます。
by kitsch-en
| 2009-02-02 08:27
| 料理
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