プロフィール
• イギリス在住12年 • フードスタイリスト リンクフリーです。 お返事が遅れることがよくあります。気長にお待ちください。 →ブログランキング 写真や記事の無断使用は固くお断りします。 copyright all content ©2007-10 kitsch-en ブログパーツ
カテゴリ
以前の記事
最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
国によって呼ばれ方が少々違う料理、イギリスで言う「ソルトビーフ」、アメリカやオーストラリアで言う「コーンビーフ」を今日は紹介します。 少々ややこしいのですが、アメリカやオーストラリアでこの料理は「コーンビーフ」と言い、缶詰のものも同様に「コーンビーフ」と呼ぶそうです。そしてイギリスでは肉料理の方を「ソルトビーフ」と呼び、缶詰は日本同様「コーンビーフ」と呼びます。基本的にこの「コーン」(corn)とは中世の英語では塩や雑穀類の事を差し、そこからアメリカ、オーストラリアでは「コーンビーフ」と呼ぶようになった様子です。 さて、作り方ですが、ソルトビーフと呼ばれるだけに、作り方に塩は欠かせません。ブリスケット(日本で言うかたばらの部位)と呼ばれる部位に、大量のロックソルトとハーブ、伝統的には少量のガンパウダーをまぶし、約10日間冷蔵庫でつけ込んだ後、塩を完全に落としてよく水洗いし、最終的には大きな鍋で水からゆっくり煮込むというものです。ガンパウダーですが、銃の発砲に使う粉です。さすがにフードスタイリストでも、そんなものは持っていませんから今回は省略。オーストラリアではシルバーサイド(そともも)を使う事が多いようですね。肉の部位の呼ばれ方も日本とまた違うので、こちらなどを参照にしてみると良いかもしれません。 義理の母と主人と3人で食卓を囲んで食べたのですが、昔はこの塩のつけ込みを終えて、すぐに料理できる段階のソルトビーフをスーパーでもよく見掛けたらしいのですが、今となっては殆ど見掛けないものの一つです。塩につけ込む期間が長いものの、肉の塊が結構大きいので塩気が強すぎる事もなく、思ったよりも食べやすいです。ここでは昔の調理法に従って、スウェード(蕪の一種)と人参、玉ねぎを一緒に煮込んでみました。時期的にも新鮮なものが出回っているグリーンピースは、軽くゆでた程度にし、その甘味と肉からの塩気のバランスがとても良かったですよ。 ロンドンでもイギリスの各都市でも、ユダヤ教の人々が多ければ必ずあるのがベーグル屋さん。定番のスモークサーモンとクリームチーズを挟んだベーグルの他にも、ソルトビーフのベーグルというものを出している所が多いはずです。ロンドンでも有名な所ではブリックレーン、ゴルダーズグリーンの辺りにお店があるのですが、ある意味そこでしか食べられない名物料理でもあるのです。スーパーやレストランではまず見掛けないものなのですが、ロンドンの人たちにとっても、付近に立ち寄った際に稀に食べるものといっても良いかもしれません。 なぜ敢えて「ソルトビーフ」を今回試したか、という背景には少々理由がありまして、一つ目には私が個人的に塩好きということ。二つめにドナヘイの雑誌を見ていた時に、コーンビーフ/ソルトビーフの記事があったのと(確かドナヘイだったはず)書かれていた事に、少々疑問を持ったので調べ始めたのです。 そこには「イギリスが発祥のコーンビーフは、、、」と書かれていて、その時「むむ?」と頭を傾げました。「コーンビーフ」とはイギリスでも日本と同様缶詰の事を差し、その雑誌の写真をみながら「これってソルトビーフなのかな」と思った事。そして「イギリスが発祥」と書かれているものの、イギリスでは殆ど見掛けないので(とはいえ上記のように、稀にいくつかお店はある感じ)発祥の地はどこなのか疑問に思った事。多分イギリスではないだろう、、、と。 アイルランド系のアメリカ人もセントパトリックデーにキャベツと一緒にソルトビーフ/コーンビーフを食べるようですね。しかし、もともとアイルランドからの移民は、ベーコンをセントパトリックデーに食べる習慣があったものの、豚が不足していた時期に、ユダヤ教の塩漬けの料理法に習ってベーコンの代わりに牛を使い出したのが切っ掛けらしいのです。なるほど、確かにユダヤ教だと豚は食べないですもんね。 そんなこともあり、多分ソルトビーフ/コーンビーフは敢えてイギリスが発祥ではないと思うのですが、どなたか詳しくご存知の方がいたら教えて下さいね。料理の歴史も複雑で、調べてみると面白いですよね。
by kitsch-en
| 2009-07-25 23:43
| 料理
|
ファン申請 |
||