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• イギリス在住12年 • フードスタイリスト リンクフリーです。 お返事が遅れることがよくあります。気長にお待ちください。 →ブログランキング 写真や記事の無断使用は固くお断りします。 copyright all content ©2007-10 kitsch-en ブログパーツ
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準備で台所にいる時間と、運転のおかげで睡眠時間が減っており、今週末は本当にへとへとで、今日は睡魔に襲われて3時間昼寝をしてしまいました 汗。最近本の撮影の仕事をしています。 先週の金曜日には、サマーベリーのミニタルトとメレンゲ、ラザニアをスタイリングしたのです。子ども向けの料理本で、ひとつひとつ段階を追って写真と手順を紹介する、ステップ バイ ステップのタイプの撮影でした。実はこの手のお仕事では食材に結構無駄があるんです。そんなこともあり、今日は残り物の話。フードスタイリストのちょっとした悩み。 1日の撮影時間は限られているので、タルトで例をあげると、まず「出来上がったもの」、「タルト生地をまとめたもの」、「生地を冷蔵庫で1晩置いたもの」などなど、作り方の紹介のために、時には3つ分くらい前日に下準備をすることも多いのです。先に準備を済ませないと、結局スタジオの皆さんを待たせる事になってしまうからなのですが、雑誌や本を見ている限り、中々そういう点は気づかないとは思います。この辺りは見えない努力で、前日の準備が勝負になってくるんですね。 そして当日モデルさんが、生地を伸ばしている所を撮影したりするのです。実際その生地もその手順の撮影が終わってしまった後にはもう使わない訳で、私の場合は大概そのまま焼いてしまうか、冷蔵庫に戻してどなたかに「お土産にどうぞ、お家でもつくれますよ」とお勧めするのですが、そういうモデルさんたちって結局は万年ダイエット中だったり、写真家さんもこういう事が一年中あるので「いらなーい」と言われる事が多い訳です。 まあ、そんなこともありまして、結局このタルトの撮影の為に最終的に5つ分の生地を作ったものの、誰も持って行ってくれずに、何だか捨てられる食材が可哀想だな、と思い自分で1つ持ち帰ってきました。綺麗に作る努力をして、最終的に「捨てる瞬間」が虚しいですが、これはレストラン、コンビニ、スーパーで仕事をしていても、一緒かもしれません(こちらやこちらにもそのような関連の記事があります)。 苺やラズベリー、ブラックベリーとクリームをプラスチックの容器につめて「明日焼いて食べよう」と夢見て帰途に就いた訳です。翌日わくわくしながら焼いてベリーを上に乗せていると、速攻相方に言われたのが「またケーキ!!!」とのこと。うちのおじさん曰く、彼のウエストラインはケーキを食べると一回り増えるとのことで、私はワインとビールのせいではないかと疑っているものの、この時点で空気の流れが非常に悪くなってきています。 「今日は確かビンスの誕生日じゃなかった?食べたく無いんだったら、このまま丸ごと持って行って、お友達と食べてもらうというのはどうかな?」 「でも、それって撮影の残り物でしょう?失礼じゃない?」 「、、、今日作ったのに?スーパーのケーキなんかは最低3日間くらいは店に並んでいるのに?」 残り物のあり方、難しいです。勿体ないという意識もあまり無い人たち、余ったものを持ち帰るのが「恥ずかしい」という人も多いんですね。世代的なものなのか、よくわかりませんが、イギリス人のひと、日本人ほど「勿体ない」という意識はないです。 さて、どうしよう。 ひとりで食べてしまおうか。そもそも生地なんかもって帰らず、捨ててしまえば良かったかな。こうやって捨ててばかりの自分が本当に嫌だな、と暫く葛藤。美味しいものを食べようと思ったのに、とほほ、悲しいです。でも実はこういうこと、かなりよくあります。毎日撮影をしていると、凄い量の無駄がでますから。 結局そのタルト、私の方からお友達に連絡をして持って行ったのですが、当人すっごく喜んでくれました。「だって手作りでしょう?目の前の人が作ってくれた料理って特別だよ」そう言われて涙が出そうになりました。 そうなんです、私も時間をかけて、気持ちを入れて作っているんです。仕事でもらってきたものかもしれないけれど、作ったタルトをもらってくれて、本当に嬉しかったんですよ。そんな週末でした。
by kitsch-en
| 2009-08-03 09:08
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