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• イギリス在住12年 • フードスタイリスト リンクフリーです。 お返事が遅れることがよくあります。気長にお待ちください。 →ブログランキング 写真や記事の無断使用は固くお断りします。 copyright all content ©2007-10 kitsch-en ブログパーツ
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夏らしい雰囲気のこちらは、ピナコラーダのムースを使ったケーキに、青いリキュールのゼリーを飾ったものです。こちらのブログに遊びに来て頂いている方々には「また?」と言われてしまいそうなのですが、「みなみさんのケーキノート」という本のLa Merというレシピを参考に作りました。 このケーキをはじめて食べたのは、実はかれこれ15年前になります。大学生の頃、毎週金曜日の夜に南青山でシャズを聴いたりする仲間がいて、そこで知り合った同じ年の素敵な女の子、ユリちゃんが「私の誕生日のプレゼントに」と作ってくれたのです。15年前の誕生日に、みんなでわいわい言いながら食べた思い出があります。 私と彼女は、同じ人を好きになってしまいました。彼女はスタイルが良くって、機転が利いて、面白いだけではなく、同じ女性からみてもどこか好きになってしまう、ちょっとした「抜け目」のようなものもあったのです。頭もいいし完璧そうなくせに、すごくお喋りで人間味があって、実は私が憧れる大好きな友だちのひとりだったのです。 その後、彼と彼女は付き合う事になりました。私も内心、複雑ではあっても応援してあげる気持ちの方が強かったのです。悲しくもあり嬉しくもあり。そういうふたりを見守りつつ、しかしながら彼に憧れる他の女性ライバルもちらほらいたのです。 ある日彼はちょっとした悪い冗談を、その彼女に見せつけることにしました。彼は他の女性を前に、敢えてその気があるような態度を、ふざけて見せつけるようなことがあったのです。異性の友だち同士にしては、距離がちょっと近すぎる。 私はその時彼女の隣に立っていて、泣き出す寸前なくらい悲しそうだった姿を横に見ながら、目を点にしてすっかり呆れてしまいました。結局自分の中の怒りのような気持ちが勝ったのだろうと思います。彼がその女友だちとタクシーに乗り込む際に、私から「てめえ、ふざけるなよ!!!」と叫んだ覚えがあります。私が叫んだのは、この時くらいしかなかったと思う。すごく、腹が立った。 それは本当に、彼女が好きだったからでもあるのです。そして私が好きであるはずの彼が、彼女にそんな態度をとる事が許せなかった。その後、彼と話をした際に気づいたのだけど、その時の私の叫びは、私が指摘するまで「彼女のもの」だったと信じていたようです。正直「私の叫び」だと分かって、彼もびっくりしていましたけど。でもなんとなく、それで良かったと思っていました。後々丸く納まったようだったし。 そして日本を離れる覚悟を決めた22のとき、いつもの友だち、彼女と彼、みんな、元気でね。と特にふたりが上手く行くように願っていました。彼、浮気するなよって(笑) 旅行好きでインドにも一人で行ってしまうユリちゃん、すごいなあ、と思いながら、私はイギリスですごしました。彼女ほどは冒険家ではないけれど、地道に言葉を勉強する事にして。そしてお互い時々葉書など送りながら、2−3年後の秋、彼女がアフリカ旅行に行くという話を聞きました。 そしてその冬、共通の友人から、短い手紙が来ました。 彼女はそこでマラリアに罹り、まだ24ー5歳の若さで先立ってしまったのです。 短いスカートで、ハイヒールでダッシュして転んで、脚に傷を付けながら笑顔で立ち上がった彼女が、転んでそのままのはずがないと思ったのだけど、残念ながらそれは事実でした。 その彼女が、このケーキを作ってくれた時に「あ!私も同じ本持ってる!」とケーキの話になって、「青いリキュールどこで買ったの?」とか、お菓子の作り方の話をしたりして、ネットなどなかった時代ですから、その彼女とコアな話が出来てとっても楽しかったのです。あの思い出も15年前のものになると思うと、時が過ぎるのがとっても早い。誕生日が来る度に、このケーキをいつかまた、作りたいな、と思っていたのです。 ちょっと個人的だし、重い内容でごめんなさい。 ユリちゃんにありがとうと言いたかったのです。 私が料理に関する仕事をしているのも、色々な友だちや、経験がもとになっていて、それが基盤で頑張っていけるのだと信じているのです。 35になった今年、あまり欲張って目標をたてるつもりもないのだけど、毎日、その日を楽しんでいければいいかな、と思っています。 (PS、お父さん、電話滅多に掛けてくれないのに、今回電話どうもありがとう。何ヶ月か振りに皆と話が出来て良かったです。facebook, twitter, mailなどでお誕生日のメッセージをくれた方々へ、どうもありがとう!)
by kitsch-en
| 2010-05-05 09:16
| 料理
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